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「お、繋がったか? プロキシ」
イアスと完全に感覚同期できたと同時に、隣からアンドーさんの声が聞こえてきた。イアスの体を通して見上げてみれば、彼は腕を組んでこちらを見ている。
『うん、準備オーケーだよ。さあ行こうか』
僕がそう言うと、アンドーさんは僕をひょいと脇に抱えた。
「っし、そんじゃオレが抱えて走ってやっからよ。とっとと行こうぜ!」
『落とさないようにだけ気を付けてくれ』
「おうよ!」
僕の最初の指示を聞くなり、アンドーさんは走り出した。
道中アンドーさんに再度確認したが、裂け目に落ちたのはグレースさんと他に二人の作業員だそうだ。救難信号が出ているのは三か所、どうやらすぐに見つかりそうだと一安心した。
走り出してから三分と立たずに最初の一人目を見つけ出した。近くにはエーテリアスがいたが、瓦礫の陰に隠れてやり過ごしていたようだ。辺りのエーテリアスをアンドーさんに片づけてもらい、それから次の救難信号へと向かう。
二人目もあっという間に見つけた。だが裂け目から出てきた場所が悪かったのか、崩れかけた建物の上部に取り残されたように座り込んでいた。アンドーさんがそこまで登り、どうにか救助すると若い男性作業員は「ありがとうございましたぁぁ~~」と鼻水を出しながら泣いていた。
そして残るはグレースさん。
救難信号は出ているものの、動いている様子を見るとエーテリアスと交戦中なのかもしれない。急いで向かうことにした。
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