#9 腕の中のぬくもり - 2/6

 ***

「お、繋がったか? プロキシ」

 イアスと完全に感覚同期できたと同時に、隣からアンドーさんの声が聞こえてきた。イアスの体を通して見上げてみれば、彼は腕を組んでこちらを見ている。

『うん、準備オーケーだよ。さあ行こうか』

 僕がそう言うと、アンドーさんは僕をひょいと脇に抱えた。

「っし、そんじゃオレが抱えて走ってやっからよ。とっとと行こうぜ!」
『落とさないようにだけ気を付けてくれ』
「おうよ!」

 僕の最初の指示を聞くなり、アンドーさんは走り出した。
 道中アンドーさんに再度確認したが、裂け目に落ちたのはグレースさんと他に二人の作業員だそうだ。救難信号が出ているのは三か所、どうやらすぐに見つかりそうだと一安心した。

 走り出してから三分と立たずに最初の一人目を見つけ出した。近くにはエーテリアスがいたが、瓦礫の陰に隠れてやり過ごしていたようだ。辺りのエーテリアスをアンドーさんに片づけてもらい、それから次の救難信号へと向かう。

 二人目もあっという間に見つけた。だが裂け目から出てきた場所が悪かったのか、崩れかけた建物の上部に取り残されたように座り込んでいた。アンドーさんがそこまで登り、どうにか救助すると若い男性作業員は「ありがとうございましたぁぁ~~」と鼻水を出しながら泣いていた。

 そして残るはグレースさん。
 救難信号は出ているものの、動いている様子を見るとエーテリアスと交戦中なのかもしれない。急いで向かうことにした。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!