#3 あわあわお風呂にいっしょに入ろ! - 1/5

 ――ちゃぷん、とお湯が揺れる音が響いた。

 蒼角ちゃんの手には、もこもことした白い泡。
 それに「フゥーッ」と息を吹きかけて吹き飛ばし遊んでいる。

「……見て見てハルマサ!」
「ん?」
「ツノにあわあわくっつけた!」

 彼女は楽しそうに笑いながら、浴槽から少し這い出て鏡の前へと身を乗り出している。

 ――ここは浴室。
 当たり前だけれど服を着たまま風呂に入る人間はいない。
 鬼族も同様にそうだろう。
 蒼角ちゃんは生まれたままの姿でそこにいて、
 僕もまた、裸で泡まみれの浴槽に浸かっている。

 ――ざぷんっ、とお湯が大きく跳ねた。
 蒼角ちゃんが勢いよく体を沈めたんだ。
 そしてまた泡で遊び始めると、何かに気が付いたように目をぱちくりとさせる。

 
「ねぇねぇハルマサ」
「何?」
「あのねー……

 わたしのお尻に
 ハルマサの硬いの

 当たってるよ?」

「…………ごめん、気にしないでくれるかな」

 狭い浴槽の中で、どうにか体を離そうと僕は身を捩った。

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