――その日、わたしはとってもおかしな夢を見たの。
いつものお仕事のデスクに座ってたわたしの前に、突然ゴハンがいっぱいあらわれて!
牛丼に、カツ丼に、親子丼、それに天ぷらうどんにカレーそば!
あとあと、麻婆豆腐に青椒肉絲、回鍋肉と、たっぷりエビチリ!
『すごーい! 食べても食べてもいっぱい出てくるよ!?』
デスクの上から全然なくならないゴハン!
こんなに素敵な夢、絶対さめてほしくない~~!
って、思ったんだけど。
『……あれれぇ、なんだか視界が変な感じ』
食べ始めた時よりもね、食べ物との距離がちょっと離れた気がするの。
よくわかんないけど、
背が高くなった、みたいな……?
『あれ、あれれぇ?』
少し下を見ようとしたらね
わたしの体が変なことに気が付いたの。
『わたし、おっぱいおっきくなってる!?』
びっくりして立ち上がったら、おっとっと、ってよろけちゃった。
だって体が重いんだもん!
もしかして、ナギねえもいつもこんなふうに体がおもたーいって思ってたのかな!?
だって今のわたし
ナギねえみたいにとってもおっきなおっぱい。
それにお尻も、ちょっとおっきくなった気がする……?
『もしかして、ゴハンをいっぱい食べたから、わたし、おっきくなったのかなぁ……』
いつもはたくさん食べても体大きくならないのにどうして?
あっそうか、これは夢だから!
って、思ったらホッとして、わたしはまたゴハンを食べ始めたの。
夢だからいくら食べてもなくならないんだもん!
もぐもぐぱくぱく!
そしたらまた胸がおっきくなった気がして。
わたしの体、どうなっちゃったんだろー。
そう思ってたらね
隣に、ハルマサが立ってたの。
『あれぇ? ハルマサ?』
わたし、夢でもハルマサに会えたのが嬉しくなって、椅子からぴょんて立ち上がってハルマサにぎゅーってしたの。
でもでも、おっぱいおおきすぎて、ぎゅーするのにちょっと邪魔だったなぁ。
『ハルマサぁ……蒼角、なんか急におっきくなっちゃった!』
おっぱいをむぎゅむぎゅって両手で揉んで見せたら、ハルマサ苦笑いしてた。
それでね、すっごく困った顔をするの。
『蒼角ちゃん、大きくなっちゃったの?』
『そうなの、ゴハン食べたらね、おっきくなっちゃった』
『そっかぁー……あーあ、僕、小さくて可愛い蒼角ちゃんが好きだったのになぁ……」
『え!?』
『大きくなっちゃった蒼角ちゃんとは恋人になれないよ』
ハルマサはおっきなため息をついたら、そのまま後ろを向いて歩いてっちゃったの。
わたし、こわくてこわくて、一生懸命追いかけた。
それなのに全然ハルマサに追い付けなくて
だから
涙が出てきて
『や、やっ、やだよぉ! ハルマサ! 行かないで! ハルマサ~~~!!!』
――布団から飛び起きた蒼角は、やわらかいものにぶつかった。
「!?」
見ればそこには、
大きな胸。
「蒼角、どうしたんですか? うなされてたみたいですよ?」
大きな胸――もとい、月城柳が心配そうに声をかけた。
蒼角は悪夢にうなされていたらしい。
しばしの間茫然としていた蒼角だったが、夢の内容を思い出したのかほろほろと涙をこぼし始め――
「そ、蒼角!?」
「うわあああああんっ! おっきいおっぱい怖いよー!!」
「!?!?」
蒼角の泣き声がこだました――。

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