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「……はあ、はあ、ど、どういうこと……?」
自室のドアを閉め、そのまま床にへたり込むリン。両手で握りしめたそれを凝視し、肩をわなわなと震わせる。
『兄と妹の恋愛ビデオはたくさんありすぎてどれがいいのかわからなかったのだけれど、あなたのオススメはある? 経験者ならではの視点で選んでもらえるとありがたいわ』
『私、プロキシ先生たちのこともっと知りたいから』
『いいお返事を待ってる』
「け、経験者……? 兄と妹の、恋愛ビデオ……??」
「お兄ちゃんと、わた、私……?」
頭が働かないのはまだ熱が下がりきらないせいなのだと思い込むことにして、リンはベッドに潜り込んだ。願わくば目が覚めた時ノックノックのその文章が消えてなくなっていますように、と必死に祈りながら――。
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