#6 食われ尽くした結果 - 3/4

 ***

「今日はたくさんケーキを一緒に食べてくださって、ありがとうございました! しかも私の個人的なお買い物にまでお付き合いいただいてしまって……!」

 ぺこり、とカリンが頭を下げるとリンは両手を前に突き出して「いやいやいや」と否定した。

「気にしないで! 私だって買い物付き合ってもらったし、ケーキは元々食べたかったし。カリンと来なかったらあんなに高そうなホテルのケーキビュッフェなんて行けなかったよ~。やっぱりすごいね、ヴィクトリア家政は。」
「ケーキビュッフェは、ライカンさんがケーキの研究の為ならと予約をしてくださったおかげです。しかし困ってしまいました。作ってみたいケーキが思ったよりも多くて……明日からしっかり練習したいと思います!」
「いいなぁ、そのケーキ私も食べたいな~」
「では、上手く作れるようになりましたらいくつかケーキを作ってお店まで持っていきましょうか?」
「えっ、いいの!? それならお兄ちゃんもきっと喜――」

 そこまで言って、言葉が途切れる。不思議に思ったカリンが首を傾げると、リンはうーんと唸り声を上げた。

「えっとさ、ケーキ、私も作ってみようかな」
「えっ?」
「あ、いやカリンが作った方が美味しいに決まってるんだけどー……私もちょっとお菓子作りしてみよっかな~って」
「そういうことなら、私がよく作るケーキのレシピをあとでいくつかお送りしましょうか?」
「いいの!? カリン直伝のレシピなら絶対美味しいよね! 教えて教えて!」
「はい! あ、お口に合えばいいのですが……ケーキ作り応援していますね」
「うん! 私がケーキ作ったらお兄ちゃん喜んでくれるかな~。最近なんか心配かけてばっかだったし今日もすごく疲れてたみたいだから」
「お兄様のこと、とても大切なんですね」
「もちろん! 大事な大事なたった一人の家族で、大好きなお兄ちゃんだもん。あ、もちろんイアスたちも大事な家族で大好きだけど!」
「……いいことです。家族はこれからも大事大事にしてくださいね。仲の良さそうなお二人を見ると、カリン、とても嬉しくなります」

 にこっと笑うカリンに、リンは少し照れたように頬を掻いた。

「うん、ありがと」

 その時、ノックノックの通知音が鳴った。リンが画面を見ると、アキラから夕飯についての問いかけだった。

「あー、お兄ちゃんから夕飯はラーメン行かないかってお誘いだ~。それじゃカリン、私はこの辺で帰るね」
「はい、今日はお付き合いいただきありがとうございました。ケーキの練習頑張ります! プロキシ様も上手くできたら是非教えてくださいねっ」
「うんわかった! それじゃまたね、カリン~! あ、ライカンさんたちにもよろしくー!」

 ひらひらと手を振るリンに、カリンは顔の横で小さく手を振り返すのだった。

送信中です

×

※コメントは最大500文字、5回まで送信できます

送信中です送信しました!