――昨日から今日にかけてビデオ屋は臨時休業。
外にビデオの返却用ポストを設けてあり、二人は帰って来るなりその中身の確認から仕事を始めた。
隣の滝湯谷のチョップ大将は、アキラの顔を見るなりほっとしたようにし「いつでも食べに来いよ!」と声をかけた。請け負った車の修理中だったエンゾウも声を聞きつけて、「おう」と嬉しそうに手を振る。アキラが被災したという話はこの小さな六分街ではあっという間に広まっていたらしい。アキラは少し照れ臭そうに彼らに手を振り、また他の人に声をかけられる前にとビデオ屋へと引っ込んだ。リンはくすくすと笑いながらその後ろをついていく。
「返却されたビデオは~……三本だね!」
「今日返却期限のビデオはあと何本かな」
「ンナンナ!」
二人が帰ってきたことに気づいて駆け寄ってきた18号が、「もうないよ!」と教えてくれた。
奥の部屋に入っていくと、H.D.Dの稼働音が少し大きくなる。
『マスター、おかえりなさい』
「ああ、ただいまFairy」
慣れた空気に安心したように、アキラはソファへと座った。
※コメントは最大500文字、5回まで送信できます