#3 あわあわお風呂にいっしょに入ろ! - 4/5


 ***

 結局蒼角ちゃんは遊びに夢中で僕の雄の本能を放っておいてくれ、
 僕もまたどうにか気持ちを逸らしてしばらく時間が経った。

「お湯ぬるくない? 風邪引くかもよ」

 僕がそう呟くも蒼角ちゃんからの返事は遅く、何に夢中になっているんだと思った時だった。

 とん、
 と僕の胸に蒼角ちゃんの頭がぶつかった。

「?」

 つぶっていた目を開けてみると、蒼角ちゃんが僕の身体にもたれかかっている。

「蒼角ちゃん?」

 名前を呼ぶが、返事はない。
 どうしたのかと思って肩に手をのせる。

「……ハル、マサぁ」
「っ! え、何?」
「………」

 少し身を捩るようにして、
 蒼角ちゃんの身体がこちらを向く。
 柔らかい肌が僕の胸板に擦れた。

 落ち着いたはずの下半身がまた起き上がろうとしている。
 いや待て。
 起きなくていい。
 起きなくていいんだけど。

 だって風呂場にまでゴムなんて持ってきてないわけだし。
 このままだと……
 って、
 やめろやめろ考えるな僕!

「そ、そうかくちゃ――」

「ハルマサ、わたし……………眠くなっちゃった」

「………………ん? え?」

 蒼角ちゃんは目を瞑り、僕の胸にもたれかかって――寝ている。

「いや寝ちゃだめだよ!? ここ風呂!!」
「うう~ん」
「遊び疲れて寝るんじゃありません!」
「すぅ……すぅ……」
「ちょっ……こらーーー!!!!」

 近くで大声を出すも、蒼角ちゃんは身動きせずにすやすやと寝息を立てている。
 ほっぺをぐにぐにとつつく、
 肩を持って揺らす、
 何をしても起きようとしない彼女に僕は呆れてしまう。

 なんで急に寝るんだよ……いや風呂に入ってると眠くなる気持ちもわからなくもないけど……。

「はあ……このままここで寝てても風邪引くし、連れてくしかないか」

 僕は蒼角ちゃんを起こすことを諦めて彼女の身体を持ち上げた。
 とりあえず泡を流さなきゃと思い、抱きかかえたまま二人いっぺんにシャワーを浴びる。
 蒼角ちゃんは抱えられていることに気が付いたのか、僕の首にしがみついた。

「起きて自分で風呂から上がってくれると嬉しいんだけど?」
「うーん……えへへぇ、ハルマサ~」

 寝ぼけているのかなんなのか。
 嬉しそうに頬擦りをして、くたりともたれかかった。

 ……全くこの子は。

 扉を開けて、僕たちは浴室を出た。

「――ま、君のお守りも嫌いじゃないけどね」

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