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「──浅羽隊員、遅刻ですよ」
翌日出勤した悠真に月城柳がぴしゃりと毎度の挨拶を放った。
「いやー副課長、僕昨日一日保育士やったんで疲れちゃってるみたいなんですよ~。休暇取ってもいいですか?」
「何を言っているんですか、浅羽隊員。昨日はとても充実した休日だったはずですよね? 十分に休息は取れているかと。蒼角と一緒にいれば仕事の疲れなんて全て吹っ飛んでしまうんですから」
カチャリ、と眼鏡を上げる音が響く。付け入る隙なし、と判断し悠真は早々に諦めて柳の横を通って行った。
「いやー、それは副課長だけじゃないですかねー……」
「蒼角は浅羽隊員との休日はとても楽しかったみたいですから、またおうちにお邪魔する際はよろしくお願いしますね」
「え? あー……ハハハ、はいはい。ま、僕でよければいつでも~」
そう言ったものの
悠真は喉元に何かが詰まるような感覚にむず痒さを感じた。
その違和感の正体に気づくこともなく、悠真は自分の椅子に深く腰掛ける。
「……あー、今日も今日とて体が重い」
──午後からのホロウ入りを思い、悠真はため息を吐いた。
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