***
ルミナスクエアの分署まではすぐだった。通行人に気を付けながら少し大きい車両を駐車させるのに手間取ったが、ようやく車から降りられると蒼角はうんと身体を伸ばした。
「はい、ここが治安官のおにーさんおねーさんがいるところだよ! ここならきっとママパパを探してもらえるからね!」
蒼角が男の子の頭を撫でる。他の執行官が話を付けてきたのか、治安官を一人連れて車両近くまで戻ってきた。治安官の男性が男の子に名前や住んでいる場所などを聞いている。 その様子を見て安心し、蒼角が車両へまた乗り込もうとした時だった。
「おねーちゃん行っちゃうの?」
男の子の問いかけに蒼角は目をぱちくりさせながら振り返る。
「うん、蒼角は治安官じゃないからー……えっと、お仕事に戻るんだ!」
そうきっぱりと言ったが、それが良くなかったらしい。男の子の目にはみるみるうちに先ほどと同じくらいの大粒の涙が──
「うう……おねえちゃん、ぼく一人ぼっちやだよぉ……うわあああああん!!」
男の子は蒼角に後ろからしがみつくと大声で泣き出した。
「あわわわ、だ、だいじょぶだよ! ここは治安局だし、やさしいおにーさんおねーさんがいっぱい……」
「うわああああああああ!!」
「は、はわわわ、だだだだいじょぶ、だいじょーぶだからね! わーん治安官さーん!!」
──結局蒼角は男の子と共にルミナ分署に残ることとなった。地下鉄駅がすぐ近くにある為、男の子が落ち着き次第すぐに地下鉄でH.A.N.D.まで戻ると他の執行官たちに説明して。
※コメントは最大500文字、5回まで送信できます